カリフォルニアネクター17とノーザンファームの育成
さて、2018年の生産リーディングはノーザンファームが162億円、2位社台ファーム63億円をトリプルスコアにも近い大差で首位となりました。これはもちろんサンデーR、キャロット、シルクといったクラブの活躍、海外から一流の繁殖牝馬を輸入し、リーディングの種牡馬と交配。さらに、天栄・しがらきをはじめとした強力な外厩、いろいろ要素はありますが、皆がそろって口にするのが「人」、スタッフの高いスキルと施設・血統とが上手く融和し、いまのポジションを築いていると。
で、具体的に「人」のどこが強いか。去年はルガールカルムでその一端を垣間見る機会があったのですが、今年はカリフォルニアネクター17(中央OW)がこれにあたります。この馬は何しろデカいです。6月のツアー時で548kg、19年1月時点で606kg。そして、気性もピリピリしていて、18年11月2日はこんなコメントでした。
現在はロンギ場でフラットワークの運動を行っています。大きな馬体を活かして、ダイナミックな走りをしています。脚元、カイバ食いともに良好で、健康状態は極めて良好です。体力的には周回、坂路で調教を進めることも十分可能ですが、何かあると突発的に暴れたり、危険な動きをすることがあります。もう少し精神的な余裕が出てくるまでは、ロンギ場での運動にとどめます。現在の馬体重は573kgです。
という点で、育成の難しい馬で、これをどう育成するか手腕の問われるところだと思います。
自分の理解では、ノーザンファームの育成は良い意味でオーソドックス。あまり気をてらったことをせずに当たり前のことを当たり前にやる。カリフォルニアネクター17の場合も、坂路で走り込みをせずに、まずは課題の精神面での成長を促す育成に重点をおいており、1月4日のコメントでは精神面での進境がみられます。
現在は週3日は軽めの運動、週3日は屋内坂路コースでハロン17~18秒のキャンターを2本のメニューを消化しています。課題の精神面にも進境がみられ、ペースが上がっても気難しい面をそれほどみせることはありません。調教での動きは良くなっており、トモの緩さにも改善がうかがえます。現在の馬体重は606kgとさらに増えていますが、特に太め感はみられません。引き続き精神面を最重視しながら進めます
まあ、ただ、気性は最も人間の制御できない点でもあり、楽ではないと思います。当たり前ですが、馬とは話せないですしねwただ、この難しい気性をどう競走馬としての強みにかえるか、ここに育成牧場、ひいては、「人」の力によるところが大きく、やはり、ノーザンファームはこれが強いと思います。というわけで、2019年、今年はカリフォルニアネクター17を競馬場で応援できることを楽しみにしています。